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【interview / vol.26】言語学と教職への飽くなき探求心と情熱をばねに!(Ximenaさん)

駐妻のキャリアについて、気になる人にインタビュー。
引き続き、日本人以外の駐妻の方々にお話をお伺いします。
第5回目は、ペルー人のXimenaさんです。ご主人の仕事で絶えず外国暮らしを続けている中でも、専門知識のアップデートに仕事にと、とても活動的な人生を歩んでいらっしゃるヒメーナさん。 皆さんの励みになるようなお話をたくさん伺いました!

ー 自己紹介をお願いします。

Ximena(ヒメーナ)と申します。在タイペルー大使の夫と共に、バンコクに2017年5月から住んでいます。

専門分野は言語学で、フランス語と英語と母国語であるスペイン語を話します。現在は大学の外国人コースで、タイ語を勉強しています。
子供が三人いますが、全員成人しており、長男と次男はリマ自治大学の学生で、長女は既に大学を卒業して働いています。今までに夫の仕事で住んだ国は、ペルーを除くとスイスに2年半、ベネズエラに5年、ワシントンに5年です。ペルーの外交官の仕事は、国を代表する仕事でもあります。

私は、新しい事に挑んでいく性格で、何もしないでいる事ができません。海外にいても自分の専門分野への情熱を絶やすことなく、色々な事を学び、経験してきました。私は、外国での生活は深い教養を身に着ける、また人間として成長する良い機会だと捉えています。

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バンコクでの生活について教えてください。

夫がペルー大使なので外交関係の活動が多く、私もそれらに積極的に関わっています。例えば、外交関係のレセプションに招待されることや、逆に大使公邸でのレセプションを主催することも多いです。また、赤十字主催の外交団バザーに出店する事もあります。それ以外にも、カトリックグループの活動に参加しており、刑務所へ月2回訪問し、ヒスパニック系の受刑者を対象に、家族とのコミュニケーションのサポートをしたり、彼らの話を聞いたりしています。

タイ政府とペルー政府間には、外交官家族の仕事を許可する二国間協定がないため賃金の発生する仕事はできませんが、その代わりに、バンコクチュラーロンコーン大学で、スペイン語専攻の学生に、言語学と外国語としてのスペイン語教育(ELE)についての講義をボランティアで不定期に行っています。現地で仕事はできませんが、大使夫人という重要な役割を担っているので、毎日充実しています。また、インドヨーロッパ言語※とは全く違う文法体系をもつタイ語を勉強できることが非常に楽しいです。一度、勉強をお休みした時期もありましたが、また勉強を始めました。もちろん難しくて大変なのですが、自分の可能性を広げていける事が嬉しいです。

三人の子ども達と離れて暮らすのは初めてなので、寂しい気持ちになる事も多いですが、彼らには自立して好きな仕事に就いて欲しいといつも願っていましたので、少しずつ慣れていければと思います。

ーとても活動的ですね。海外に住みながら、どのようにキャリアを継続されたのか教えてください。

大学在学時からほとんど途切れることなく自分の専門分野に関係した仕事を続けてきました。学生時代には、夫と知り合う事になった、スイスのジュネーブへ留学をするまでは、大学の言語センターでフランス語を教えていました。

駐妻になって初めて暮らしたジュネーブでの2年半は、フランス語圏なので、すぐに溶け込むことができました。ジュネーブ大学の1年のフランス語教師養成課程を修了したのち、聴講生として同大学の言語学関連の授業に参加していました。また、短期で数カ月、ILO(国際労働機関)のカンファレンスでのアシスタントや、国連関係の校正などもしていました。その他にも、仕事でスペイン語力が必要なスイス人にスペイン語のプライベートレッスンをしていました。その時期は、まだ子供の生まれていなかったですし、夫の帰宅も遅かったので、日中の時間が長く感じられ、その時間を有効に使うため仕事をしていました。

その後帰国し、2年間リマに住みました。その間に長女を出産し、スペイン語とフランス語の教師として小中一貫の英国系私立女子校で働いていました。私自身、その学校を卒業しています。その学校では、幸運にもペルーへ帰国する度に仕事を頂いています。

その後は、ベネズエラに5年間駐在し、同地で、長男と次男を出産しました。三人の子育てに専念するため、その間は働いていませんでしたが、二人の子どもの妊娠を気遣い、その分時間をかけて応用言語学修士課程を卒業しました。ベネズエラスペイン語圏ですし、ペルーにも比較的近いので生活には容易に馴染めました。

ベネズエラから帰国後、再びリマで5年間過ごしました。再度、先ほどお話した英国系の学校で教師として働いたのですが、きっかけはとてもラッキーな偶然でした。まず、帰国する事が分かった時にその学校のディレクターに連絡したところ、ちょうどフランス語教師の空きがあり、「ぜひ働いてくれないか」とのオファーを頂けたのです。なので、仕事がすでに決まっていた状態で帰国することができました。

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Ximenaさん


リマでの5年間の後、ワシントンに5年間駐在しました。知り合いの紹介でCAF(ラテンアメリ開発銀行)のオンラインでの校正業務を得ることができました。同時に、小学校でパートタイムのスペイン語教師もしていました。その仕事ではスペイン語授業のコーディネートも担当していました。アメリカは、ペルーと外交官家族の就業に関する二国間外交協定があるため、自分の専門分野でのキャリアを積むことができました。
パートタイムにした理由は、やはり三人の子育てと当時総領事だった夫のサポートもする必要があったためです。長女は既に英語が話せたのですが、下の二人は、まだ英語が話せなかったので、授業についていけるまでに時間がかかりました。仕事の他に、オンラインでペルー・カトリカ大学のスペイン語教師養成課程を修了しました。

ワシントンの後は、リマに戻り5年間暮らしました。そして、また同じ学校でスペイン語教師になりました。この時の仕事を得たきっかけは、同じ学校に通っていた姪が、私が帰る事をサブディレクターに話したところ、再度偶然にも、育児休暇を取得するスペイン語教師の代わりを探していた事でした。 その後が、今のバンコクです。ここでは、先ほど、自己紹介の際にお伝えしたように、ボランティアで不定期にチュラーロンコーン大学でスペイン語の起源やヒスパニック文化についての講義をしたり、コンカンの大学でスペイン語の教師の仕事についてのカンファレンスを開いたりしています。これらの仕事は、私のキャリアにとってとても有益でした。また、オンラインで、米州開発銀行の書類の校正をしています。この仕事はオンラインなので、二国間外交協定の有無は関係ありません。

ー外交官家族の就業に関する二国間協定について教えてください。

二国間で取り交わされる協定の一つです。両国の外交官家族に赴任地で就労する権利を与えるもので、この協定のおかげで、ワシントンで教職に就けました。バンコクでの仕事は、国外での仕事をオンラインで行っているので特に二国間外交協定の有無は問われません。参考資料 https://www.state.gov/wp-content/uploads/2019/05/20190412-List-of-BWA-and-de-Factos.pdf

ー 子育てと家事、お仕事を両立させるために、お手伝いさんなどは雇っていましたか?

はい。ベネズエラの時からいつも同じペルー人女性に、子供の世話や家事などを手伝ってもらっています。彼女は私の両親の元でも働いていたので、とても信頼しています。今でもリマの自宅で子供たちと一緒に住んでもらっています。

ー ご主人はヒメーナさんのキャリアの継続に協力的ですか?

はい。夫はいつでも協力的で、強い絆で結ばれていると感じますし、いつも私を励ましてくれています。また、私は絵を描くことが大好きで、以前は小さな絵画の会社を自営して、自分の書いた絵をペルーのお店に置いてもらっていたのですが、最近は、また絵を描いたらどうかと、背中を押してくれています。

ー 今後のプランを教えてください。

ペルーに戻ったら、また同じ学校で働ける可能性があると思っています。今まで3回、同じ学校でスペイン語教師やフランス語教師として働き、とても充実していました。最後に担当した仕事は、外国人の子ども達にスペイン語を教える仕事でした。様々な国籍の子ども達が、一日でも早くペルーの教育に慣れるように、それぞれの母国語に合わせた習得方法を研究するなどして工夫を凝らし、一人一人に合わせて教えていました。
教師の仕事は、決して高給ではありませんが、お金ではなく、言語学への興味と情熱が大きい事と、言葉を教える事の喜びの方が大きいです。今考えていることは、言語学関連の修士課程をオンラインで受講したいなと思っています。その他にも、ラテン語の勉強や、言語学関連の本をよく読み、知識をより深めて、次のキャリアに生かしていきたいです。

ーお友達の駐在員の配偶者の方々もキャリアに興味はあると思いますか?

現在住むバンコクでは他の駐在員の方とはまだあまり知り合っていませんが、仕事に興味のある駐在員配偶者は多いと思います。また、自宅でハンドクラフトをされている方を知っていますが、お仕事としてされているかどうかは分かりません。また、タイ以外の国に住む外交官ではない駐在員の奥さまで教師をしている方がいます。私が思うに、人それぞれ状況も違うので一概には言えないかと思います。特に、子育ての時期には仕事を辞めて子育てに専念しなければならない時期もありますので。また、タイでは言語の壁もあり、就業をする事は難しい場合も多いです。

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(左)Ximenaさん 右)インタビュアー:櫻井まや

ー外国に住んでいる間は、キャリア継続の観点から、どのような事が大事だと思いますか?

何かチャンスが生じたときに、それを逃さない事です。または、働けない状況の場合は、何か興味のあることや専門分野についての勉強を続ける事も重要です。でも、一番良いのはやはり、仕事をするか、何かボランティア活動を続ける事だと思います。自分の専門から離れたり、新しい知識を得ない状態でいることは避けるべきだと思います。
私の場合は、自分の専門に関わる仕事やボランティア活動そして勉強を常に行ってきました。それらは、言語学者としての自分をより豊かにしてくれました。また、言語学に関係する本を読み、知識をアップデートし続けました。

その他では、前職の同僚や上司とのコンタクトを取り続ける事やボランティア活動をすることも、いつか人生でプラスになることがあります。海外生活ならではの新しい出会いも魅力の一つです。また、そこで出会った友人から仕事やボランティア活動につながる事も多いです。ベネズエラではアメリカ人の友人をお手本に、ベネズエラ人やラテンアメリカの母親のプレイグループを作りました。そこでは、彼女たちから様々な文化について学ぶことができました。その経験は、とても素晴らしいものでした。また、お話した以外にも、読書クラブにも参加しています。
タイでは、言語の違いもあり、地域に馴染むのが他の国よりも時間がかかっていますが、これから、活動範囲を広げてたくさんの友人を作り文化についてもっと学びたいです。

海外生活をポジティブに過ごすためのコツの1つは、やはり、その国の言語を話せるようになることだと思います。

駐在員同士との付き合いも良いですが、それ以外にも現地の人達の文化を知り、友人を作り、彼らの言葉を学ぶ事も、私にとってはとても大事なことです。

※1インドヨーロッパ言語:ヨーロッパから南アジア、北アジア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、オセアニアにかけて話者地域が広がる語族である。

 

<インタビューを終えてみて>

大学のタイ語インテンシブコースで出会ったXimenaさん。いつも明るい方で楽しい話をするのですが、授業中には言語のプロだけあって、プロフェッショナルのこだわりを感じることが多々ありました。 今回インタビューによって彼女のいろいろな経歴や住んできた国でしてきたことや、夫の仕事へどう協力しているかなど、彼女の新しい側面を知ることができました。とても興味深かったです


(インタビュアー:櫻井まや・池田晴 校正:金村彩香・秋元かおる・恩田理恵)

 

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