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【interview / vol.19】 慎重になり過ぎず、まずは一歩動き出して!・株式会社Waris キャリアカウンセラー 島谷美奈子さん

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駐妻のキャリアについて、気になる人にインタビュー。
第19回は、キャリアカウンセラー 島谷美奈子さんへのインタビュー。 島谷さんは延べ6,000名もの方々へキャリアカウンセリングを行ってこられたとのこと。駐妻はもちろん、様々なクライアントとのカウンセリングを通して感じてこられた再就職に向けた心構えなど、貴重なアドバイスをたくさんいただきましたのでご紹介します!

ー この度はインタビューへのご協力、ありがとうございます!  早速ですが、現在の日本の労働市場の概要を教えていただけますか?

日本では労働人口の減少に伴い、バブル期以上の人出不足の状況が続いています。観光業や福祉業では特に人出不足と言われています。また企業では、女性活躍推進を含めたダイバーシティ施策の推進に伴い、離職歴がある人材や、シニア層の再雇用にも注目が当たるようになりました。Waris が創業した2013年当時は、残業ができない子育て世代や離職歴がある人材に企業はなかなか振り向いてくれませんでしたが、今では優秀な人材であれば働き方に条件があっても、「会ってみましょう」と言われるようになりました。

一方で、IT化・AI化の推進により単純作業がメインの仕事は減ってきています。市場で生き残っていくためには、淘汰されない領域である、企画力や対人スキル力を活かせる領域でキャリアを伸ばしていく必要があるのではないでしょうか。また、定年年齢を延ばす動きや外国人労働者の受入れも進み始めているので、企業側が「女性活用は推進できた」と考え始めるかもしれず、今の状況に安心してはいられないと思います。

また、「事務職の経験しかないのですが再就職できますか?」と質問を受けることがありますが、営業事務などをされていた方でも、リーダー以上の経験がある方は有利です。 特に人手不足と言われている中小・ベンチャー企業では、「現場ですぐ考え、自分で判断してプロジェクトを回す」ことができる人材が求められるからです。

ー 海外にいても最新の日本の動向を知るためにはどのような方法があるでしょうか?

まずはパートナーのお仕事や駐在国の経済状況を通して、日本と海外との関係について情報収集されておくことも良いのではないでしょうか。また、SNSを通して求人情報得て再就職した方もいらっしゃいますので、LinkedIn、Wantedlyなどに登録して、気になる企業の動向をチェックしたり、FacebookTwitter、ブログなどで自分の関心事項を発信していくことも良いアピールになると思います。Warisでも、お仕事情報の案内やイベントのご案内をしています。

ー 駐妻キャリアnetでは、活動のObjectiveの一つとして、「駐妻ライフをキャリアにする」を掲げています。駐在帯同期間をただのブランク期間にしない為に、どのように過ごせば良いと思われますか?

現地でしかできない経験(現地法人での仕事、ボランティア、お子さんの学校行事サポート、現地の学校での学び等)は、駐在したからこそできる貴重な経験です。特に、文化が異なる現地の方とかかわる活動はご自身のダイバーシティインクルージョンを推進することになるでしょう。どのような経験でも「肯定的に」捉えることができれば次につながっていきます。あまり「仕事」として考えないで、興味のあることは是非やってみてください!

日本人女性の方は離職してしまうと「〇〇年、出産の為退職」など、「なぜブランクがあるのか」を応募書類に書いてしまう傾向があるのですが、企業は「この人材は何ができる人なのか」を見たいのです。
ぜひ応募書類の前半では「自分は何をできるのか」、そして後半には「ブランク中に活動したこと」を書いてアピールしましょう。

例えば、駐在前に大手企業の広報部で働いていた方が、帯同先のNGOでPR業務のボランティア活動をされていました。企業に勤めていた際はチームの一員としての仕事でしたが、そのNGOでは人出が足りず、一人で考え一人で実行しなくてはならず、その経験が活きて帰国後に小規模団体のPR業務への再就職に繋がりました。

ー 駐在帯同期間中に、現地でしかできない活動を経験することと、日本にある企業からリモートワークを請け負うのと、どちらが良いと思われますか?

その方によって何が良いかというのは異なるとは思いますが、リモートワークをするには、VISA・納税やパートナーの会社規定など環境が整っている必要があります。また、リモートワークに向いている仕事は、翻訳、ライティング、リサーチ、IT系など、業務が比較的限られていると感じます。これらのキャリアを継続する場合は1つの有効な手段だと思いますが、 これらの業務に関心がないのであれば、現地のボランティア活動に参加されることの方がキャリアに結び付くと思います。

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ー 自分の目指す道が明確な場合は、駐在中の過ごし方も決めやすいかもしれませんが、 やりたいことがわからない、目指す道がわからない時は、まず何を考え、どんなことに取り組んでみたら良いと思われますか?

「できること」にフォーカスしてみましょう。今までの業務内容、ブランク中に行った活動をたくさん書き並べ、その中で、苦労せずにできたことに〇印をつけてみてください。表彰されたことである必要は無く、文句を言われなかったこと、リピート依頼のあったものなどは「得意なこと」「周りから求められていたこと」と言えると思います。それらと、ご自身の関心があることを掛け算することで、次の仕事につながることがよくあります。
この作業はキャリアカウンセリングを受ける際にも役立ちますので、ぜひ思い付くすべての活動を書き出してみてください。

ー Warisのサイトに掲載されている「主婦のための再就職チェックリスト」が具体的で興味深いのですが、自分でチェックをした後、どのように活用したら良いでしょうか?

こちらはワークアゲイン登録者向けのシートで4段階に分かれています。それぞれのタイミングで家族や友人に相談をしてみましょう。迷うときはWarisワークアゲインのキャリアカウンセリングもご利用ください。

1. 心構え(復帰したい時期の6ヶ月前を目途に): まずはいつ仕事復帰するのか仮ゴールを決め、周囲に宣言してください。

2. 自分自身の棚卸(復帰したい時期の3ヶ月前を目途に): 書類突破・面接突破のためには自己分析が必須です。アセスメントを使って参考にするのもよいでしょう。

3. 周囲のサポート(復帰したい時期の4ヶ月前を目途に): 頼る力は仕事に入ってからも役立ちます。まずは身近な家族に家事・育児・介護を頼る、外部サービスを利用することから始めましょう。 ご家族に対し、「手伝って欲しい事は言わなくても見て気が付いて欲しい」とは思わず、家事・育児をリスト化し、どの部分をご家族にサポートしてもらい、どの部分は外部サービスに頼るのかを相談してください。
ずっと働き続けられている女性は、ご家族と定期的にミーティングを開いていると聞いたことがあります。

4. 応募・面接への準備(復帰したい時期の2ヶ月前を目途に): レジュメのブラッシュアップ、面接対策を行う時期です。企業の求めている人物像を調べ、仕事が嫌だったらすぐ辞めてしまうと思われないように、なぜその企業を志望したのか、今までの経歴と異なる職種であれば特になぜその職種に応募したいと思ったのか、などの応募理由をきちんとレジュメに書くことが大切です。そして、必ず第三者にチェックしてもらいましょう。

ー 家族で話し合う事が大切ですね。
実際に帰国後再就職を果たした方の好事例などもあれば教えてください。

再就職事例としては3つの特徴があります。1. 飛び込む力 2. キャリアの再統合 3. 分析力です。

1. 企業の就業体験を経て正社員復帰を目指すキャリアママインターンでは、海外駐在歴が長い方の事例もあります。「とにかく新しいことにチャレンジしたい」という意欲が強く、企業の目に留まり就職につながったケースです。

2. 経験がある職種とは少し違う職種に変更したいというケースもあります。その場合は、「なぜやりたいのか」、新しい仕事につながる知見やスキルがあるのかをキャリアカウンセリングで洗い出しし、レジュメから変えてもらいました。非正規社員ですが新たな職種にチャレンジをされています。

3. 「保育園に入りやすいエリア」を徹底的に分析し、転居先を決めてお子様の預け先を確保してから帰国された方がいらっしゃいました。お仕事情報もエージェントや知人を頼って、こまめに調べていらっしゃいました。

ー 帰国後再就職できても、以前に比べて給与が下がってしまうというケースをよく耳にします。年収を上げるために、意識しておかなければいけないこと、努力しなければいけないことを教えてください。

年収の交渉には根拠となるデータが必要です。入社後に実績を上げた、組織にこのように貢献できたというデータを揃えて交渉していきましょう。入社時に交渉してもかまいません。
男性は目標を掲げ、それにコミットすることで年収交渉を行う場合が多いのですが、女性は「ブランクがあるから、、、」と言い出すことができず、それが後々フラストレーションになっていくことが多いです。「企業が理解してくれない」という考え方では無く、実績を根拠に交渉するようにしましょう。

また、ベンチャーや中小企業は大企業に比べて年収が低い傾向がありますが、事業拡大で年収が上がる可能性も大いにあります。そこにやりがいを見いだすこともできると思います。

ー 年収の話にも繋がるのですが、日本では女性の管理職が少ないですよね。日本での女性管理職の割合を増やす為には、何が必要だと思われますか?

「私なんて無理です」と躊躇してしまう女性がとても多いと感じます。
女性は100%の自信が無いと「やります!」と言い出せない傾向にあるのですが、それでは経験が身に付きません。何が不安なのかを周囲に伝えて、不安要素を1つひとつクリアして、ぜひ、チャンスがあったらチャレンジしてみてください!
今までの日本では管理職というと長時間労働のイメージもありましたが、最近は「働き方改革」や「健康経営」を推進する動きもあり、管理職のイメージも変わってきています。

また、チャンスが来た時に飛び込めるように、女性自身が環境を整備しておくことは大切です。先ほどもお伝えしましたが、家のことも仕事もすべて自分で抱えるのではなく、周りに頼りましょう。これは部下を持った時にも重要な考え方ですが、「自分のやらないことを決める」ことは大切です。
家族に何か問題が発生した際、その都度仕事を辞めてしまうのでは無く、周囲の助けを借りて乗り切ってください。
アラフォー以上の方は体調の変化に備えて、体調の相談ができる人や病院を見つけておくことも大切です。

日本企業の役員会議、管理職会議にシニア層の男性ばかり出てきて海外の方が驚く、という声はよく聞きます。日本では育った環境の影響で「周りを引っ張っていくリーダーには女性よりも男性が向いている」というバイアスがあることもあります。けれどリーダーの資質も変わってきていて、チームの調整役のような「コーチング的リーダー」は女性の方が向いているとも言われています。

コーチング的な女性リーダーが増えると、日本企業の雰囲気も変わってきそうですね!
最後に駐妻へのメッセージをお願いします。

駐在帯同歴がある方は、多様なバックグラウンドを持つ人材とのコミュニケーション力に長け、行動力があると企業から高い評価を受けています。そろそろ帰国が決まった、お仕事についてモヤモヤがあると感じたら、すぐに行動を起こしてお仕事復帰の準備を始めてください。
その際に注意したほうがいい点は、家庭環境整備も同時並行で進める必要があるということです。
海外でご家族が心地よく過ごせるために気を配っていらっしゃったことと思います。そのまま100%の状態を保とうとするとお仕事が始まったときに体調を崩したり、ご家族の病気や介護が始まったからと短期で退職を選ぶケースもあります。

もう1つ、「早く実績を出さなくては!」と焦ってしまい、周囲に相談しないで一人で抱え込む方がいらっしゃるのですが、そういった方には責任ある仕事は任せてもらえません。
離職期間が長いと、復職後の自分を思い描くイメージと現実とのギャップがあるようです。 自分の中にある理想像が高すぎるのかもしれません。家庭も仕事も、誰に何を頼むとうまく回るのか、緊急時はどのように対処すると良いのかも考えて準備をしておきましょう。
そして「働きたい」という気持ちがあるのでしたら、慎重になりすぎず、まずは一歩動き出してみる事でチャンスが巡ってくると思います!

以下、駐在帯同歴がある方によくご利用いただくサービスをご紹介します。

駐在中はお仕事をされていない方
・再就職特化型キャリアカウンセリング(帰国時期が決まったらご利用ください。個人に合わせて仕事の選び方や必要な準備についてアドバイスします)
https://workagain.waris.jp/career-counseling

・ワークアゲインカフェ(オンラインのイベント時にご参加ください)
https://workagain.waris.jp/cafe

駐在中もお仕事をされていた方
・Warisキャリアセッション(キャリアチェンジやフリーランススキルアップのご相談をしたい方向け)
https://waris.jp/cms/archives/special/8048.html

・Warisプロフェッショナル(フリーランス、リーダー以上の正社員のお仕事紹介を希望する方向け)
https://waris.jp/index.html

<インタビューを終えてみて>

元駐妻の転職事例を含め、復職までの具体的な手順と心構えを教えていただき、参考となる考えをたくさん教えていただいたインタビューでした。
「言わなくても見て気が付いて欲しい」と、つい私も不満に思ってしまうところがあるので、ハッとしました。リスト化したり実績を示したりと見える化することが大切ですね。
家庭でも職場でも「自分がやらないことを決める」までには葛藤が生まれそうですが、時間も体力も限りがあるもの。パートナーや職場の同僚・部下と試行錯誤しながらその分担を話し合うことで、絆や信頼も深まるのではないか、とも感じました。
コーチング的なリーダーが増え、リーダーもメンバーも輝ける職場が増えると社会も明るくなりそうですよね。帯同中に培ったコミュニケーション能力を活かして、ぜひ私たちも一歩踏み出してみませんか!
(担当:秋元かおる・金村彩香)

 

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島谷美奈子

Warisワークアゲインエデュケーションプランナー/キャリアカウンセラー
人材ビジネス業界出身。出産ブランク約2年を経て再就職。横浜市相模原市横須賀市新潟市等再就職セミナーの実績多数、女性起業家支援実績もあり。国家資格キャリアコンサルタント産業カウンセラー

 

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2013年創業。人事・広報・経理などのビジネス系フリーランス女性と企業とのマッチング事業「Warisプロフェッショナル」と、女性のための再就職支援事業「Warisワークアゲイン」を通じ、多様な生き方・働き方を創出する人材エージェント。登録者12000名、クライアント企業1700社。
https://waris.co.jp

 

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