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【interview / vol.23】言語をマスターし、異文化に進んで飛び込む姿勢が飛躍への近道!(JoAnnさん)

駐妻のキャリアについて、気になる人にインタビュー。
前回に続き、日本人以外の駐妻の方々にお話をお伺いします。
第3回目は、フィリピン系アメリカ人のJoAnnさんです。香港、シンガポール、イギリスの駐在を経て、現在のブラジルでのご経験を伺いました。

ー 自己紹介をお願いします。

私はイギリス人の夫を持つ、カリフォルニア出身のフィリピン系アメリカ人です。

二人の息子がいます。夫とはワシントンで知り合い、それから彼の香港、シンガポール、イギリス、ブラジルへの駐在に帯同しました。ブラジル、サンパウロに来て3年になります。

普段は、子育てやINC(International Newcomers’ Club)の新規入会係の副代表や国際開発プロジェクト団体に提案書を作成する仕事をフリーランスで請け負ったりしています。昨年までは、NGOで栄養プログラムのモニタリングと評価の手伝いをしていました。

 

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ー とてもユニークで柔軟な海外でのキャリアをお持ちだと伺いました。詳しく教えてください。

私にとって自分らしくあるためには、母親と妻であること以外に仕事を持っていることが不可欠です。専門分野での仕事を続け、プロフェッショナルでいられることが自分らしくあるために必要なので、どんな仕事でもいいというわけではないのです。

大学ではコミュニケーション学とスペイン語を学んだのち、公衆衛生の修士をとりました。結婚前は、国際的なNGOHIV予防の健康プログラムのプログラムマネージャーとして、タンザニアガイアナ共和国で活動していました。その間、夫とは遠距離恋愛をしていましたが、夫が香港に駐在になったことを機に、仕事を辞めて帯同し結婚しました。その時から私の駐妻生活が始まりました。

香港には計2年住み、その間は赤十字の救急部門で働きました。その後、夫がシンガポールへ転勤となった為、再び帯同し、シンガポール政府の公衆衛生を促進する為の仕事に就きました。同地で長男を授かりましたが、育児休暇を取って仕事を続ける事ができました。4年半のシンガポールでの生活の後、夫の母国イギリスへ戻り、その間に次男を出産しました。4年半住んだロンドンを後にして今、夫のブラジル駐在に帯同しています。

ー ブラジルでは仕事はされていますか?

ロンドンの友人から、ブラジルのとある栄養改善事業をしているNGOにコンタクトを取ることを勧められたのをきっかけに、仕事のチャンスを得ました。初めは団体の担当の方々も私と一体どんな仕事をすればいいのか手探りしていたようで、実際に活動するまでかなり長い時間がかかりました。5回ぐらい会って話した後、やっと仕事をもらえました。ブラジルの人は、まず相手がどのような人なのかをよく知った上で仕事を依頼するようです

約2年間、そのNGOでボランティアをしました。仕事のやり方に文化の違いがあることを感じましたが、今までのプロジェクトマネージャーの経験を活かし、彼らのプロジェクトにとって良い解決策をアドバイスすることができたと思います。異文化を知るという意味でも、キャリアを積むという意味でも、とても貴重な経験になりました。

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ー 働くにあったって、困難だった事があれば教えてください。

ブラジルに来た時、これまでの駐在生活との違いを感じました。というのも、まずはポルトガル語を学ばなければならなかったからです。香港では、国際機関である赤十字で働いていたので、職場の同僚は皆英語を話せましたし、シンガポール公用語は英語なので、これまで言語に関して全く問題ありませんでしたが、ここブラジルではポルトガル語の習得が最優先でした。

もし、当時に戻れるものならば、もっと速く学べるように努力すると思います。本当に苦労したので...。なかなか私が伝えようとしていることを理解してもらえませんでした。それでも3か月後からは徐々に意思疎通が図れるようになっていきました。今でもポルトガル語のプライベートレッスンは週に二回受けていて、今まで勉強してきたことの復習をしたり、さらに新しいことを学んだりしています。

ー 外国で仕事を得ようとしたとき、日本人にとって言葉が問題になることは多いのですが、英語が母国語の方にとっても公用語が英語ではない国では、その大変さは同じですよね。

そうだと思います。ブラジルではボランティアの人達に週に8時間以上働かせてはいけない(8時間以上働かせる場合は賃金が発生する)という法律があるのですが、私は自宅で自分のスキルアップのために、パソコンに向かってポルトガル語で文書の作成をしたり、プロジェクト関連の書物やサイトを読んだりしてプレゼンテーションの準備をしていました。ポルトガル語でのプレゼンは簡単ではなかったので、念入りな準備が必要でした。ポルトガル語の勉強にもなりましたし、自分の専門分野のスキルアップにもなりましたので良かったと思っています。

また、同じNGOで働いている人達からの「あなたからたくさんのことを学べたわ!」というようなポジティブなフィードバックも励みになりました。これらの経験は、家庭生活からでは得られない充実感をもたらしてくれました

また、プロボノだとしても自分の専門性を活かせる重要な機会でしたし、定期的に出かける用事があったことは、ここでの生活に慣れるためにも良かったです。昨年末まで続けていたこちらのボランティアは、無償であってもとても楽しめました。

ー現在は、何か活動をされていますか?

今は二つの事をしています。一つ目は、子供の学校を通して関わることになったNGOでのファンドレイジングイベントのお手伝いです。こちらでのボランティア活動は、今までのものとはかなり違います。この団体の委員は学校の生徒の親達ですので、学校の延長線上にある感じです。まさに“駐在員”という感じで、英語を話す他の駐在員と一緒に働くことは、以前の仕事とはずいぶん違います。

二つ目は、英語を話す在伯外国人の交流団体で、新しく入会される方々のアテンド係の副代表をしています。入会希望者が最初にコンタクトを取るのが私です。私は社交的な方ですが、スムーズに話すことが難しい言語でのコミュニケーションは困難な時も多かったので、共通言語を話す人達とつながりを持てるようになり生活がずいぶん楽になりました。日本の方々のコミュニティの結束力が強い理由が私にも理解できます。やはり母国語で話せることは心地いいですよね。

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ー 私たちにとって言語の問題は大きいですね。でもJoAnnさんは、すっかりローカルのコミュニティに馴染まれている、そうなれるまでにはどのような過程があったのか教えてください。

私はカルチャーショックを乗り越えるため、進んでローカルのコミュニティに溶け込もうとしました。でもご近所の方々にポルトガル語で話しかける勇気を持てるようになるまで時間がかかりました。「大丈夫!完璧に話せなくても、まずは挨拶をしてみよう。」と自分を励まさなければなりませんでした。

時間はかかりましたが、誰でも自分の子供の幸せを願っていて交流したいと思っている、みんなそんなに大きな違いはないんだと思えるようになり、今では同じマンションの住人達のWhatsAppグループに入って、毎週金曜日のプレイデートに参加したり、イースター、ハロウィン、クリスマスの時にはパーティを開催したりしています。お友達ができたことで、子供達もここでの生活を楽しめるようになりました。

ーJoAnnさんの勇気と行動力がすべてを変えたのですね。素晴らしいですね!駐妻生活で有難いと思うことはありますか?

そうですね。3つのことに感謝しています。一つ目は、フルタイムのお手伝いさんがいるので、一人で家事を全部こなさなくていいことですね。なんでもかんでもお願いするというわけではないのですが、頼れる人がいるというのは有難いです。夫は仕事をする為、キャリアアップの為にここに来ていますので…。私のことをサポートしてくれる人がいると、私も夫をサポートできます(笑)

二つ目は、ベビーシッターがいるので、夜に夫と食事にでかけることができることです。夫の今の通勤時間は数分なので、ロンドンにいた時よりもかなり早く帰宅しますし、時々平日に一緒にランチをすることもありますよ。

三つ目は、いろいろな所に旅行できることや新しい言葉を学べたことですね。

ー 旦那様とお食事に出かけられるなんて素敵ですね。旦那様のことをもっと詳しく聞かせてください。旦那様はJoAnnさんのキャリアを応援してくれていますか?協力的ですか?

夫はキャリアを再スタートするように言ってくれています。つきあいが長いので、私が働くことが好きなのも知っていますし、どんなことが得意かもわかっています。ですので、いつも応援してくれています。

この前おもしろいことがあったんですよ。先月ある仕事に応募したんですけど、一週間後に良いお返事を頂きました。でも夫はショックを受けて、「誰が子供達を迎えに行くんだ?」「誰が子供達のしつけをするんだ?」と心配していました。彼が私に仕事をするようにと言ったのに、私が本当に仕事を得たら、生活の質が下がることをとても心配し始めたんです。だから気持ち的にはとても応援してくれていますが、実際に私が仕事するとなるといろいろと心配なのでしょうね。

私の仕事が始まったら、家族としてうまく成り立つのか?もう一度考えなければならないのかもしれません。私達にとって、子供の教育やしつけは大切なことですので。

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ーでは、今は有償のお仕事をされているんですね?どうやってお仕事を見つけられたのですか?

ブラジルでは、先ほどお話した法律の問題でパートタイムの仕事があまりないんです。働きたいのですけど、家族のことを考えるとフルタイムの仕事は難しいなと思っています。その為、リモートワークを見つけようと思いました。これまでの知り合いにメールや電話で連絡を取ったり、LinkedInで履歴書を更新したりして、私がどんな仕事をしていたかを皆さんに伝えるようにしました。そうしましたら、タンザニアの時の上司が、彼女の旦那様がフリーランスコンサルタントを活用するビジネスを始めたと連絡をくれました。早速連絡をとりましたが、最初は仕事がありませんでした。でも少し経って、仕事を受けることができますよというメールを出したら、仕事を得ることができました。フリーランスになったら、このように私は今仕事ができます(仕事をください)と自分から伝えなければいけないと思います。

実は休暇で旅行中だった時も仕事をしたんですよ。プロフェッショナル意識が欠けていると思われたくなかったので...。夫も賛同してくれて、子供たちが寝た後に仕事をしました。良い経験になりましたし、以前のように自分でお金を稼ぐことができて嬉しかったです。そのおかげで買い物も楽しめましたしね。

また、最近もう一つのNGOにも連絡をとりました。こちらはシンガポール時代の友人から紹介されたものです。すべて、過去の人脈のおかげですね。こちらのNGOには、フルタイムで働くのは難しいと思うけれども、フリーランスでパートタイムならできると思いますと伝えました。このことを言うのは少し心配でしたけれど、それでも私に興味を持ってくださったので、やはり自分から言わないと得られないものだな、と思いました。

ーなるほど。フリーランスにとっては自分を売り込むことは大事ですよね。ワーク・ライフ・バランスはどのように保たれていますか?

ベビーシッターがいますし、有償の仕事は2,3か月に一度の頻度で受けているだけですので問題なくできています。ボランティアの仕事はブラジルの法律により一週間に8時間しか働けないこともありますし、子供たちが学校に行っている時や夫が会社にいる時にしています。計画的に仕事をすればバランスは保てると思います。でもバランスが保てない時もありますね。例えば、NGOのチャリティイベントの前は、夫が「PCから離れなさい、そんなに働くのはやめなさい」と言うほど働いていました。きちんと仕事をしたいですし、責任も感じるので、ついつい働きすぎてしまい、バランスが崩れることもありますね。

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ー本帰国された時の再就職に関しては心配していますか?

そうですね。すでにこちらに3年滞在していて、帰国する頃には4年になっていることでしょう。ブランク後の復帰は簡単なものではないと思いますが、言語を習得し、変化への対応力も身に着け、そして職種的に私が求めている仕事と少し異なる仕事であっても、ワーク・ライフ・バランスを保てるという良い点もあるということで柔軟に引き受けてきたことによって、ポジティブな経験を得られたと思っています。こちらで取り組んできたことすべてが役に立つかわかりませんが、何かに繋がれば…と思います。

ーJoAnnさんと同じコミュニティの方々は、駐妻生活をどのように過ごしていますか?お友達とキャリアに関して話したりしますか?

友達の何人かはフルタイムで働いています。駐妻になる前から働いていた会社で働いているようです。リモートワークをしている友達も一人います。みんな、他の駐妻の方々とコーヒーを飲みに行ったり散歩したりして、なるべく交流しようとしています。そうでもしないと、ただ家で一人で働き誰とも直接会って話せないということになってしまいますからね。

もちろん働いていない友達もいます。私が働いていると言うと、「本当に?ここでの生活を楽しみたくないの?」と聞かれたりもしました。駐妻達の間では、仕事というのは共通の話題ではないかもしれませんね。みんな、ここには期間限定で滞在しているのでできる限り楽しみたいという気持ちがあるみたいです。

たいてい話題にあがるのは、子供、休暇、新しい土地での生活の立ち上げ、文化的な趣味といったところですね。でも、私がプロフェッショナルな仕事に近いボランティアの仕事をしているということを知った友達の何人かからは、「どうやったらできるの?」「私もやりたいわ」と言われました。

ーJoAnnさんが良い刺激になったのでしょうね。自国を離れて駐妻として暮らしている期間にキャリアアップを図るためには、どのようなことをするのが大切だと思いますか?

何かしらの活動をしていた方が良いと思います。ソーシャルワークのボランティアだったとしても、コミッティーで働くことで対人関係のスキルがアップすると思います。委員会に参加したり、他のメンバーと一緒に決めごとをしたり、決定事項を承認したり…。仕事と同じような感じです。

また、実用的なスキルを身に着けることも重要だと思っています。ライティング、他の人と協働すること、常に変化している公衆衛生に係る広報というキャリアの発展に関する記事をたくさん読むことなど。時間がある時は、LinkedInの短いチュートリアルも観るようにしています。

夫は仕事でスキルアップできますが、フルタイムで働いていない私は、自分で最新のテクノロジーについていくこと、また知識を深めるとことが重要だと思っています。

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ーJoAnnさんは、今の生活を楽しんでいるようにお見受けしますが、何かもっとこうだったら良かったのに…と思われることはありますか?

ポルトガル語がもっと流暢に話せたらいいなあと思いますね。でも皆さんへのアドバイスとしては、完璧ではない状態でも是非興味のある機関にコンタクトとってみて欲しいということです。自分が経験を積んでいる分野で助けを必要としているかもしれないからです。

私のポルトガル語は完璧ではありませんでしたが、知ってる範囲のポルトガル語を駆使してNGOに貢献することができました。完璧ではなくても、人の役に立てる、感謝してもらえるということを私自身学びました。

ー励みになる言葉をありがとうございます。駐妻の皆さんに他に何かメッセージがありましたらお願いします。

良い妻、母であるだけではなく、プロフェッショナルな自分も大切にするということは大事だと思います。自己実現の為に働いている母親の姿は、子供達のモチベーションアップにも繋がると思います!

 

<インタビューを終えてみて>

インタビュー中は、終始、笑顔を絶やさなかったJoAnnさん。
とても明るくて、周りの人たちをも元気にする力のある方だなと思いました。
伝えたい事がどんどん泉のように溢れ出す様子から、 絶えず挑戦することを忘れない、充実した人生を歩んで来られた事が、 手に取るように伝わってくるインタビューでした。
駐在中でも、ご自身のキャリアを構築し今後につなげるために、様々な方法でアプローチをされたJoAnnさんですが、中でも印象に残ったのは、今までの仕事で培った人たちのと繋がりから、新しいお仕事のチャンスを得られている点です。
それは、JoAnnさんが良い仕事をされてきた事の証しなのだなと思いました。そして、ただ仕事を待つのではなく、機会が少しでもあれば、素早く行動し、その機会を最大限に活かす力が必要なんだということを学びました。
また、現地での仕事やボランティアをするに当たっては、やはり語学力が鍵になる事を改めて実感しました。
語学力を身に着けて進んで現地の人々の中に飛び込む姿勢は、JoAnnさんだけでなく、駐在をしている方々にとって海外生活を一生忘れられない特別な体験にしてくれるのだと思いました。


(インタビュアー:金村さやか・池田晴、校正:恩田理恵・金村彩香・秋元かおる)

 

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