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【interview / vol.9】駐妻・専業主婦期間を活かし50代で輝くキャリアを掴む 「専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと」の著者、薄井シンシアさんインタビュー

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「主婦ほどクリエーティブな仕事はない」「専業主婦をキャリアと捉える」-著書「専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと」で、「専業主婦からキャリアを積むことはできる」ことを伝え、多くの女性に勇気を与えた薄井シンシアさん。

出産を機に30歳で専業主婦となる道を選び、17年間の専業主婦生活の後、47歳の時、駐在帯同先のタイで"給食のおばちゃん"として仕事復帰。その後日本では、電話受付のアルバイト、ANAインターコンチネンタル東京の営業開発担当副支配人などを経て、シャングリ・ラ ホテル東京に勤務。現在は観光事業・教育事業の立ち上げ準備を行なっていらっしゃいます。

シンシアさんは、ご主人の転勤に帯同し、20年以上にわたって海外で暮らした経験を持つ駐妻の大先輩です。

今回はシンシアさんが、海外経験の活かし方や新しいキャリアの考え方など、駐妻に向けての想いを語ってくださいました。

 

■アフリカでの駐妻生活、帰国後の出産を経て専業主婦の道を選択

「何よりも優先したいのは子供を育てる事」。

 

-初めまして、今日はよろしくお願いします。ではまず、初めて駐妻として海外に行かれた時のお話を伺えますか。

外務省勤務の夫に帯同してリベリアに行ったのが1カ国目。その後帰国し、2年後に同じアフリカのナイジェリアに行きました。危険な地域で、外出もできない状況だったので生きていくのも大変な場所でした。

 

-シンシアさんはフィリピンの国費留学生として来日され、ご結婚後も最初の海外帯同が決まる前は日本でやりがいのある仕事をされていたとのことですが、仕事を辞めることに葛藤はおありでしたか。

当時は貿易会社に勤めていて、仕事は大好きだったけど、現地で自分が働くという選択肢はありえませんでした。当時は帯同するなら“専業主婦”の選択肢のみだったし、All Or Nothing!!という感じでした。

 

-当時の生活について教えてください。

まず、危険な場所で生活できるよう、家のことを整えるのに精一杯でした。それに当時は新婚で料理も得意じゃなかったし(笑)。なので雑誌のムック本を現地に何冊か持参して和食、洋食、中華にお菓子、パンとあらゆるものに挑戦し、雑誌に掲載されている料理は『全部』作れるようになりました。徹底的に学びました。

 

-アフリカからの帰国後、専業主婦の道を選択されました。そのきっかけは何ですか?

元々は専業主婦には絶対なりたくなくて、産後も復帰するつもりでいたんです。

でも30歳で娘を授かった時、「この子を社会性のある人間に育てる」事が“今”の自分の使命だ!!と思ったんです。それで仕事を辞めて、17年間家事と育児に専念しました。

もちろん仕事が好きだったし、同窓会の時、友人の話を聞いて焦りや不安を感じる事もあったけれど、“今”の自分の目的意識やプライオリティを明確にして気持ちを切り替えていました。私は切り替えが早いので(笑)

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■「仕事をするように、家事をする」

 

-シンシアさんの著書の中に、「会社で仕事をするように、家事をする」というとても印象的なメッセージがあります。

私は主体的に「専業主婦」という仕事を選んだので、漫然とこなすのではなく、家事を徹底的に合理化しようと決めたんです。まず、設定した時間通りに家事を行うこと。気分でやったりやらなかったり、ダラダラしたりしない。そして合理化できる部分がないかいつも考えて工夫をしていました。

 

-なるほど、本当に仕事みたいですね!「1カ月の夕食の献立スケジュール」には驚きました!

月曜は豚肉、火曜は魚、水曜は牛肉・・と曜日ごとにメイン食材を割り振って、1ヵ月分の基本献立をあらかじめ決めてしまう。そうすると食べ物の無駄がなくなるし毎日献立を考える時間が削減できる。とても効率的で合理的なやり方だと思います。

 

-シンシアさんの子育てエピソードにも、クリエーティブな要素が満載ですが、具体的な内容を教えてください。

娘が3歳の時、NY駐在になりました。私は美術館鑑賞が大好きだし、NYにはたくさん素晴らしい美術館があるから行きたいけれど、ほとんどの子供は絵には興味ないでしょう?(笑)

だから美術館に行く時は、初めにGallery Shop(おみやげ屋)に行くことにしていました。そして絵葉書を10枚くらい買って「今日はここで宝探しゲームね!」と子供に渡して、美術館で絵を探すゲームをするんです。そうすると私もゆっくり美術鑑賞ができるし、子供も楽しく美術館にいる事ができる。

結果的にこのゲームは、娘が芸術に興味を持つきっかけになりました。だから娘は絵だけではなくてオペラなどいろいろな芸術に造詣が深いんです。それは今まで、「子供だから連れて行くのは無理」と諦めないで、自分の好きな事をするために工夫したことの影響が大きいと思っています。

 

-「家族のルール」を決めていたとのことですが、その中でも絶対に変えなかったルールは何ですか。また、ルールは5つまでと決めていたのはなぜですか? 

絶対に変えなかったのは、「就寝時間は夜9時」というルールです。これは娘が高校卒業まで絶対に譲りませんでした。その理由は、娘が学校で全力を出して活動できるようにするため。インターナショナルスクールのバスが朝6時に来て登校していたから、睡眠を充分にとって体力を回復させるためには夜9時には寝ることが必要と考えたんです。

5つまでというのは、子供、特に未就学児に言って聞かせる時に片手に収まると覚えやすいから。あとそんなにたくさんのルールを作ってもできないので(笑)

 

-夜9時就寝だと、やるべきことが多くて時間が足りなくなってしまうこともあるのではないですか。

それは自己管理ができてないということ。できない原因は突き詰めれば、「能力が不足している」「やる事が多すぎる」「時間管理ができていない」のどれかです。だから自分で整理しなさいと言って見守っていました。悩んで進まなくなった時には、一緒に何が問題かを書き出して、整理をして、娘本人が納得して動き出せる様にしていました。

 

 

■私はマニュアルではなくて参考書

 

-お話を伺っていると励まされる一方で、「行動力に溢れるシンシアさんだからできる事で自分には難しい」と感じてしまうのですが・・。

私はあくまで『参考書』。自分のできる事、必要な事を情報としてご自身の生活に活かし、良い所を取り入れてもらえればいいと思っています。マニュアルではないので。

あと、「人と違う生き方をしていても大丈夫」「周りと違う道を選んでも、自分のゴールを持っていれば大丈夫」ということを、私を通してもっと知ってほしいです。

私のキャリアは階段式のステップアップではなくて、ジャングルジム。

不安になっても、ゴールに向けた道は上にも下にも横にもあるから、その中で自分に合うものを自由に選んでいけばいいと思います。

 

-専業主婦だと社会との接点が少なく、仕事復帰に向けて不安を感じるという声を聞きます。今から準備できることはあるでしょうか。 

PTA活動やボランティアで、社会との接点を持ち、組織で働く経験を積むのが良いと思います。

私の場合、PTA活動では父兄の取りまとめや業者・学校との交渉をする経験ができたし、ボランティア活動では世代や性別関係なく多くの人とつながりを持つチャンスがありました。

会社や仕事場だけが社会とのつながりではないし、専業主婦だからと言って活動を限定する事はないと思います。

常にオープンマインドで目の前に来るチャンスを見逃さなかったことが、自分のキャリアにとって良かったと思っています。

 

 

■全ての経験が自分の可能性を拡げる。駐妻期間をフルに活かして自分への投資を

 

-シンシアさんの今後の活動について教えてください。

NYU SPS東京(ニューヨーク大学プロフェッショナル教育東京)とコラボレーションして、専業主婦やシニアを対象にした観光業のコースを立ち上げる準備をしているところです。今、政府のインバウンド政策で、サービス産業は人手不足が深刻化しています。

それに女性が潜在的にもつホスピタリティを生かすのに、ホテル業界は向いています。専業主婦などのブランクがある女性に、教育機関で学んでもらい、現場へインターンとして就業するシステムを構築中です。これは来年の3月を目処にスタートする予定です。

 

-ホテル業界について学んだ上にインターンで実務経験が積めるなんて素晴らしいですね!

そう、そしてもう一つ取り組みたいことが「教育」。

娘がハーバード大学に行くにあたって、私が経験したことや集めた情報を、もっと多くの人に共有したいと思っています。

私は、娘の進学の時、緻密な計画を立てました。入学方法や入学費用、奨学金など、必要な情報はすべて集めて臨んだんです。娘本人の努力ももちろんあるけれど、進学には親のサポートが必要となるので、私が持っている情報を、駐在先でお子さんの教育に不安を持っている方や、子供の可能性を拡げたいと思っている方達に届けていきたいと思っています。

 

-最後に、後輩駐妻、プレ駐妻にメッセージをお願いします!

今は時代も変わり、駐妻=専業主婦という事ではなく、選択肢が昔より多くなってきたと思います。ただ今も昔も変わらないのは、海外へ帯同する事は、自分の世界や視野を広げる第一歩になるということ。経験することは全て将来の自分への投資になって、必ず自分に返ってくる。駐妻期間をフルに生かして頑張ってください。

駐妻は本帰国すると一生の友達になります。苦労を共にして世界を見てきた者同士だからこそ分かり合えることも多いと思います。私も応援しています!

 

 

(担当:大渕久恵・秋山智子・飯沼ミチエ)
 

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薄井 シンシア

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。日本国籍。国費留学生として20歳で来日。東京外国語大学卒業後、貿易会社に2年間勤務。外務省勤務の夫を支え、30歳で出産した娘を育てるために専業主婦の道を選ぶ。5カ国で20年間暮らす。娘のハーバード大学入学と同時に就職活動を開始。47歳で“給食のおばちゃん”からカフェテリアマネ

ージャー(タイ)、会員制クラブの電話受付アルバイト(日本)を経て、ANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。勤続3年で営業開発担当副支配人になる。その後5つ星+のラグジュアリーホテルに勤務。現在は、観光事業・教育事業の立ち上げ準備を行なっている。

 

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